文部科学省は4月に実施した「全国学力・学習状況調査」の結果を公表した。90万人を超す中学3年生を対象に初めて実施した英語では、「書く」「話す」の技能に課題があることが分かった。
日本の英語教育は、コミュニケーション能力の向上を目指し、小学校からの早期教育にカジを切った。しかし、相手に意思を伝える力の育成が十分な成果を生んだとは言いがたい結果だ。誤答の原因などを分析し、授業の改善に役立ててほしい。
英語の全国の平均正答率は「読む」が56.2%、「聞く」が68.3%、「書く」が46.4%、「話す」が30.8%だった。
「書く」では、女性の居住地を尋ねた設問の正答率が30%台だった。誤答の多くは、中1レベルの動詞の活用を理解していないケースが占めた。文法の知識不足だ。
2つの文をつなぐ簡単な接続詞の選択でも誤答が目立った。英語以前に文章を論理的にとらえる読解力に問題がある可能性がある。
「書く」「話す」の誤答の原因は、表現すべき内容は分かったが、英語が思い浮かばなかったのか。それとも設問が理解できず、表現すべき内容自体が思いつかなかったのか。こうしたデータを分析し、現在のカリキュラムや授業の在り方が正しいのかを、実証的に問い直す必要がある。
今回の英語の学力調査では、全国の公立中学の平均正答率に、都道府県の間で、大きなばらつきはなかった。
一方、文科省が今春公表した「英語教育実施状況調査」によると、英検3級相当以上の英語力を持つ中3は全国で42.6%だ。地域間の差が大きく、高い自治体は60%を超え、低いところは30%台だった。
英語教育実施状況調査では、実際に英検などを受験していない生徒の能力は、教員が主観的に判断する。数値を上げようと、生徒の英語能力を過大に評価している事例はないか。2つの統計の整合性についても検証を求めたい。
Source: [社説]学力調査にみる英語の課題 :日本経済新聞
自分たちの子供世代でも英語が使えることが有利になるという時代は変わらないのでしょうか...
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