橘氏がAXAのホームページでコラムを書いていたのでメモ:
https://www.axa.co.jp/100-year-life/wealth/20180822/
金融資本だけでは幸せになれない
──日本が危機的な状況であれば、富裕層が海外に出ていくという流れも起きそうです。
そうですね。しかし、さほど大規模な移動は起きないでしょう。誰しも生まれ育った国で暮らしたいという気持ちが働くからです。
シンガポールのプライベートバンカーから聞いた話ですが、数百億円の資産を持つ日本人の移住者が毎日“自炊”しているそうです。いくらでも高級レストランに行くことができても、やっぱり食べなれた和食が恋しくなるんでしょうね。さらに海外では、日本の友達とも気軽に会えません。
金融資本がどれほど積み上がっても、好きなご飯を食べられず、友達もいない生活では、はたして幸せなのか考えてしまいます。
──お金だけでは幸せにはなれない。
そうはいっても、金融資本は自由に生きるうえでの基本ですから、特に重視しておくべきです。私も若い頃は、「自由とはこころの問題だ」と考えていたんですが、お金で自由を買えることは少なくない。
家庭や会社で嫌なことがあるときに、離婚したり転職したりできるかどうかは、こころの問題ではなく、お金の問題ですから。
──逆に「お金がなくても幸せ」というパターンはどうでしょうか。
金融資本は少ないけれど、友達は多くて、地元の仲間同士で助け合って楽しく生きている──いわゆる「マイルドヤンキー」ですね。そういう人は実際にいますが、年齢とともにある程度はお金がないと厳しくなるのが現実ではないでしょうか。
そもそも「幸福」は相対的なものなんです。人間は徹底的に社会的な動物なので、周囲の状況に応じて幸福のあり方も変わります。
まわりが年齢を重ねて豊かな生活を手に入れているなかで、自分だけが取り残されると、いかに友達が多くても幸せと言い切るのは難しいでしょう。