NISAやiDeCoで投信運用 バランス型か世界株型か お金を殖やすツボとドツボ(72) 編集委員 田村正之 - 日本経済新聞
岡根 値動きをやわらげる伝統的な考え方が債券を組み入れること。債券は株式に比べて値動きが緩やかだからね。バランス型と呼ばれる投信の多くは、株式と債券を組み合わせている。
ハナ どれくらい効果があるの?
岡根 債券の比率による。代表的なのが国内株、国内債券、海外株、海外債券を4分の1ずつにした4資産分散。つまり半分が債券だ。この場合、09年2月までの1年間でも、積み立て投資の資産の減少は25%ですんでいる。
ハナ 私、バランス型投信にする。
岡根 でも失うものも大きい。長期では株式は債券より上昇率が高い。89年末から23年末まで34年間の積み立て投資の資産は、4資産分散は世界株100%に比べて半分にとどまった。値動きの小ささか、長期での増え方か、どちらを重視するかの選択だ。
岡根 しかし積立期間が20年だとどうなると思う? 成績が最悪だった09年2月までの20年は、4資産分散は累計積立額より2割増え、世界株100%はほぼトントン。つまり株100%でも損が出なくなった。しかも大半の時期は世界株100%の増え方が圧倒的に大きい。集計期間全体の平均だと、世界株100%なら累計積立額の2.4倍なのに4資産分散は1.9倍にとどまる。つまり期間が20年と長ければ世界株100%がおおむね有利だ。最悪期までの成績はやや劣るが、そこで積み立て投資をやめずに続ければいいしね。
岡根 グラフにはないが、30年の積み立てなら世界株100%は全体の平均では3.6倍で、最悪期の30年でも累計積立額より7割強増えた。一方4資産分散は平均2.5倍で、最悪期は株100%にやや劣り7割弱の増加だった。
ハナ 30年だと最悪期でも世界株100%が4資産分散を上回るのか。
岡根 株式は通常の時期の毎年の増え方が大きいので、一時的な下落があっても長期になるほど補いやすい。結論を言うと、積立期間が数十年程度と長ければバランス型投信に比べ世界株100%の有利さが際立つ。一方期間が短い場合はバランス型で値動きを抑えるのも一案だ。こうした結果がわかる今回のデータは結構貴重だよね。