金融教育、重要になった背景は:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59237870Y2A310C2EN8000/
日本の金融教育は今始まったものではなく、戦後長年行われてきた。そこでの基本的発想はお金を節約して銀行に預けさせるためのものだった。「金融教育=貯蓄増強」であり、金融教育はむしろ余計な資産運用を行わせないための洗脳活動の側面もあった。
そうした状況から一転し、今度は資産運用も重要となれば国民に戸惑いがあるのも当然だ。
なぜ今資産運用に向け金融教育が行われるのか?
戦後長らく国を挙げて貯蓄増強が推奨されてきたのは、家計の資金を銀行に預ければ、銀行がリスク転換機能を十分に発揮していたからだ。銀行は貸し出しもするし、株式持ち合いを含め株式保有もする。デット(負債)とエクイティ(資本)一体で、企業価値を包括する金融仲介を実現していた。
従って銀行にお金を預けさえすれば「貯蓄から投資」を事実上実現できるマクロ構造にあった。
しかし今日、企業は資金余剰に転じ、銀行は株式を一方的に売却する。銀行に預けた資金の多くは日銀当座預金や国債購入に向かい、リスク転換機能の不全が懸念されている。
そうした状況では、家計がリスク資産に直接資金をシフトさせるべく、銀行預金以外に運用を多様化させる「貯蓄から投資」の必要性が生じる。そのためには指針となる一定の教育も不可欠になる。