為末大氏が実践、子どもの言語能力を育てる親の「あいづち力」 (3ページ目):日経ビジネス電子版
一番ファンダメンタル(基礎的)な力となるのは、やはり「自己肯定感」だと思います。その上で、成功するために大切なのは、「いろいろとやってみよう」と試行錯誤する気持ちになれること
子どもが「こっちじゃないか?」と思う方向に任せて一緒についていく。それはある意味、ギャンブルでもあるし、面倒くさいときもあるけれど、子どもなりに“仮説を立てて検証する”経験をたくさんさせてあげたいと思っています。
「これはどうなっているんだろう? ひょっとしたらこうじゃないかな?」と自由に発想させて、実際にやってみて、どうだったのかを検証して、まとめる。その一連のプロセスが“学習”の本質になるんじゃないかと考えています。
ものごとの一つひとつの概念を、どれほど身体感覚を持って記憶しているか。そして、それがどれほど蓄積されているか。それが「知性」につながるはず、というのが僕の仮説です。
だから、子どもが小さい時に親ができる支援は、とにかく「体験させること」「試させること」。その点は自分自身の子育てでも、かなり意識していると思います。
その時、体験と言葉を結びつける力も必要です。子どもの言葉を豊かに育てるための働きかけとしては、日ごろどんなことをしていますか。
為末:絵本の読み聞かせを毎日やっています。これは僕が担当しているのですが、大体1日に4~5冊。最近は、『おしりたんてい』シリーズに息子がハマっていて、全巻そろえています。
あと子どもの言語能力を育てるには、大人の方から積極的に「引き出す」意識が必要だと思うんですね。
子どもが何気なく口にしたささやかな言葉を、できるだけ拾うようにする。「面白いこと言うね」「なるほど、そうなのかもしれないね」と拾って肯定する。まぁ、子どもが調子に乗っちゃうこともあるんですけど(笑)、「自分のアイデアを口にするのはいいことなんだ」と思えるのはいいんじゃないかと思います。(インタビュー中編は2019年7月30日公開予定)