グラフCは株式と債券に分散投資した指数を、1929年8月の株価のピークの時期から、ドルコスト平均法で一定額ずつ買っていった場合の平均購入単価と損益の動きを示している。
ドルコスト平均法により下落過程にも株や債券を買い増していたことで平均購入単価が下落していったため、指数が底打ちした後、ごく早い時期の1933年の5月、つまりピークからわずか3年9カ月で、投資収益はプラスに転じている。
その後も利益は膨らみ続け、分散投資の指数がピークを回復した時期には、すでに累計投資額に対して3割以上の利益になっていた(ちなみにドルコスト平均法がいつも最適なわけではなく、有利かどうかは資産価格の動きによる。下落を繰り返しながら長期的に上昇していくことが多い株価指数などでは比較的成功しやすいということだ)
米大恐慌では株の暴落が生産の急減を引き起こし、一時は4人に1人が失業した。経済の大災害と言ってもよい状況だ。そんな中でも投資対象を分散し、ドルコスト平均法で投資時期も分散して着実に投資していれば、比較的早い時期に利益を回復させることができたことがここからわかる。
まずグラフA。米国を代表する株価指数であるS&P500種株価指数(複製指数)の「配当無し」指数のピークは1929年の8月。10月の大暴落を経て、最大で9割弱も下落し、再びピークを超えたのはなんと1954年。確かに25年かかっている。
僕らは過去の株価データをみるとき、このように配当抜きの指数だけで物事を考えがちだ。しかし株に投資すると多くの場合は配当ももらえる。実質リターンは「配当込み」で考えるべきだろう。
グラフAで「配当込み」の指数をみると、事実上のピークの回復は1945年の1月。15年と5カ月だ。一般に言われている「25年」よりも10年も早く回復していて、その後も「配当なし」に比べてどんどん回復ピッチが速くなっていく。
長期保有していると配当が積み重なって元手が大きくなっていくので、それを再投資していれば、株価が上昇に転じたときには途中から掛け算のように加速度的に収益が回復していくことがよく見られる。配当利回りの大きな銘柄を選び、配当を再投資することの重要性がここからもわかる(分配のない投信を持ち続けても同じ効果がある)。
グラフBの「株式と債券の分散ポートフォリオ」という線は、株(配当込み)と債券に50%ずつ投資した場合を示している。ピークからの最大下落率は株だけの場合よりも小幅にとどまり、約6年2カ月で投資元本を回復できている。
同じようなことは、アジア危機やITバブル崩壊のときなど様々な株価下落局面でみられた。僕たちが過去の暴落局面から学ぶべきなのは、まずは株と債券のように異なる値動きの資産を組み合わせて投資をすることの重要性ではないだろうか。
グラフCは株式と債券に分散投資した指数を、1929年8月の株価のピークの時期から、ドルコスト平均法で一定額ずつ買っていった場合の平均購入単価と損益の動きを示している。
ドルコスト平均法により下落過程にも株や債券を買い増していたことで平均購入単価が下落していったため、指数が底打ちした後、ごく早い時期の1933年の5月、つまりピークからわずか3年9カ月で、投資収益はプラスに転じている。
その後も利益は膨らみ続け、分散投資の指数がピークを回復した時期には、すでに累計投資額に対して3割以上の利益になっていた(ちなみにドルコスト平均法がいつも最適なわけではなく、有利かどうかは資産価格の動きによる。下落を繰り返しながら長期的に上昇していくことが多い株価指数などでは比較的成功しやすいということだ)
米大恐慌では株の暴落が生産の急減を引き起こし、一時は4人に1人が失業した。経済の大災害と言ってもよい状況だ。そんな中でも投資対象を分散し、ドルコスト平均法で投資時期も分散して着実に投資していれば、比較的早い時期に利益を回復させることができたことがここからわかる。
「オンリー・イエスタディ」、米大恐慌の時代:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXBZO04570930U0A320C1000000/