500兆円...は凄い。20年後に資産価値はなくなるといのは本当なのかもしれません。
累計500兆円という巨額の資産が、煙のように消えうせた──。こんな衝撃的なデータがある。国土交通省が統計のある1969年以降を対象に、国内住宅への累計投資額と住宅資産額の差を調べたものだ。
Source: 住宅資産から500兆円を消失させた三位一体の罪 :日本経済新聞
これは私の実家も同じように資産価値が下がっていると思います。もう返済完了し、住み替える必要もないので査定はしていないと思いますが...ローンは返せれば全く問題ないと思います。個人のバランスシートが35年間ずっと悪いだけで...
■「リフォームは評価されません」
「えっ、2600万円……? それじゃ、建物の評価はほぼゼロということですか」。横浜市の郊外に住んでいた60代の夫婦は、中小の不動産仲介業者の査定金額を聞いて、耳を疑った。
夫婦が一戸建ての住宅を購入したのはバブル期前の86年春。5500万円の建て売りで約2600万円が土地代、残り2900万円が建物代と諸経費だった。
すぐに長女が生まれ、「夢のマイホーム暮らし」が始まった。主要駅まではバスでの移動になるものの通勤・通学に苦労するほどの距離ではなく、「売却を考えたことはなかった」。
20年ほどがたち、水回りが古くなってきたことからリフォームを決断した。地場工務店は「これからは資産価値が重要。売る時にも大規模リフォームの方が有利ですよ」とのセールストークを繰り出した。風呂やキッチン、トイレなどの水回りの交換、フローリングやクロスの張り替え、一部の間取りも変えた。総額は850万円だ。
それから数年で長女が結婚して家を出た。2014年、「このまま2人で住むならもっと小さなマンションがいい」と思い立って査定を依頼したところ2600万円という数字が返ってきた。
「そんなふざけた話があるか」と、他の仲介会社に依頼したが査定額はほぼ同じ。資産価値を高めるはずの大規模リフォームは「ほとんど評価の対象にならない」とまで言われたという。建物代の2900万円と、約10年前に手掛けたリフォーム代850万円の計3750万円が、いつのまにか消えていた。
住み替えてもよいと思える中古マンションが2000万円代で見つかったため、夫婦はしぶしぶ売却手続きを進めた。「少しでも高く売りたい」と2800万円の売り値を付け2750万円で売却できたのが、せめてもの救いだった。
Source: 住宅資産から500兆円を消失させた三位一体の罪 :日本経済新聞
最大の悲劇、、、私がローンを避けたいなと思う気持ちはこれなんですよね。借金だけが残る。
この夫婦の場合、ローンの支払いが終わっており住み替えられただけまだましだった。最大の悲劇はローン支払い中に住み替えの必要性が生じた時だ。
ローン返済の初期は、その多くが金利分の支払いに充てられる。その中で、住宅を手放すと何が起きるか。住宅の資産価値が急速に下落しているため、売却額で元本を返しきれないのだ。つまり、家を売却すると住まいを失った上に借金が残る。
その資金が手当てできない消費者は、新たな住宅ローンの頭金すら積めない状態で二重ローンを抱えるか、住み替えを諦めてローンを払い続けるかの選択を迫られる。
欧米ではノンリコースローン(非遡及型融資)と呼ばれる融資形態が普及している。同ローンを活用して住宅を手に入れれば、元の住宅を金融機関に差し出せば借金は完済したと見なされるので、新たな住まいが手に入れやすくなるのとは対照的だ。
なぜこんなことになるのか?アメリカ人同僚によく聞かれる話です。日本の家が資産でなく消費材なのか。以下記事の分を自分の偏見でまとめました。
- 中古住宅市場の違い→中古流通の割合(日本 - 13%、米国 - 80%以上)
- 日本の住宅の約6割を占める木造戸建て住宅は、最も資産価値の下落スピードが速い。一律で「20年で価値ゼロ」と見なす業界慣習があるためだ。
- メンテナンス状況や現状の品質が価格に反映されるのが当然に思えるが、現実はそうなっていない
- 20年で価値ゼロと見なす慣習の根拠が定かではない。why?→国、不動産・建設業界、金融業界が一丸となってしがみついている(これはひどい..)
- 国にとって、消費財であり固定資産である新築住宅は、非常に都合の良い存在だ。新築住宅であれば消費税と固定資産税が税収として入る。だが、中古住宅流通では基本的に消費税が発生しない。
- 一方、不動産会社としては中古住宅の価値を認めない方が、都合が良い。資産価値が認められて中古流通比率が高まることは新築着工の減少につながり、業績面ではマイナスに作用するから
- 家を売っても借金が残るため、住み替えられない。そんな状況を生み出す一翼を担う形になっているのは、金融機関...現在の住宅ローンはほとんど取りっぱぐれがないおいしい商品
税収減を恐れる国。新築着工戸数減少を少しでも先送りしたい不動産・建設業界。消費者に余分な負担を強いていることを認識しながら、その状況を放置する金融機関
- なぜ誰も気づかない?→。高度経済成長に伴う地価上昇が、住宅価格下落を覆い隠してきたのだ。しかし人口減少が鮮明になる中で、もう地価上昇は期待できない。
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全国の空き家は2013年調査時点で約820万戸に達した。既に日本国内の8戸に1戸が空き家となっている。購入した住宅に手入れをしても価値が高まるわけではない
- 人口増の都心でも空き家率が高止まりしているのは、中古マンションを放置し新築住宅を建て続けているからだ。
- 中古住宅を荒れ放題に放置し、新築を建て続ける。そんなムダの再生産が、今の日本で持続できるはずがない