東京からの転出を検討する子育て世代が増えている(埼玉県川越市のカチタス川越店)
「到底、買える物件はなかった」。埼玉県川越市に住む20代後半の会社員はこう漏らす。
妻と2歳の娘の3人家族。3月まで親が住む東京都板橋区の社宅に同居し、勤務先がある吉祥寺に通っていた。子どもの成長を見据え、予算3500万円で駅に近い都内の物件を探したが、23区外に範囲を広げても条件に合う物件は見つからなかった。
結局、予算の範囲内で川越市の一戸建てを購入した。最寄り駅から徒歩10分。池袋駅までは東武東上線で約40分で、都内へのアクセスも良い。築20年ほどの中古物件だが「風呂などの水回りも取り換えられていて、新築と変わらない」と納得している。
男性に物件を販売した中古住宅販売のカチタス川越店の中原大珠店長は「都内から引っ越しを検討する子育て世代の引き合いが強い」と話す。土地代が高い東京の戸建ては3階建てになることが多いが「埼玉方面へ北上してくれば、2階建てでも広い間取りを確保できる」と背景事情を解説する。
不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)によると、都内の新築戸建て住宅(土地面積50〜100平方メートル)の平均価格は2023年、6409万円と15年比で32%上昇した。
23区になると、普通の家庭には手が出せない。不動産経済研究所(東京・新宿)の調査では、23年度の新築マンションの平均価格は初めて1億円を突破する一方、23年の専有面積の中央値は67.41平方メートルと10年前から4%減った。
住居高騰、東京去る子育て世帯 公営活用も募集枠に限り:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC235HE0T20C24A5000000/