では、某大手企業に勤める“エリート”の嘆きから。
「私は幸運にも上司に恵まれ、若いときからいろいろと経験をさせてもらい、海外駐在にも出してもらいました。
気がつくとそれなりの役職になり、社長のカバン持ちで出かけることも増え、『このまま会社で上を目指そう』と思った時期もありました。出世がしたいというより、会社というひとつの組織で、どこまで自分が行けるのか?それを試したくなったんです。
でも、やっぱりそれは思い描いていた自分とは違う。気がつかないうちに、河合さんが言うところの“ジジイ”になりそうになっていました。
それできちんとベースを作ろうと思って、大学院に進学。ちょうど40代半ばにさしかかった頃です。50代になったら会社を辞めて、セカンドキャリアを歩もうと決心したんです。
公募がある度にエントリーしてるんですが、狭き門なので全く決まらない。え? 目指してる再就職先ですか? ……すみません。詳しくは言えません。
ただ、決まればすぐに辞めるつもりだった。けどなかなか決まらないうちに会社から大きなプロジェクトリーダーを任されました。上からは現場の次期リーダーの育成もかねてやって欲しいと言われて。今からちょうど1年半前の出来事です。
自分では『最後のご奉公』のつもりで、できる限りのことをやった。若い人たちにも自分のノウハウを教え、プロジェクトを成功させるために上とも戦ってきました。下もがんばって育ってくれましてね。そろそろ退き時という空気を日々、ヒシヒシと感じています。
なぜ、そう感じるかって? それはやっぱりプロジェクトのメンバーが自分と距離を置き始めているからです。ついこないだまで寄ってきた奴らが、周りから消えた。現金なものです(苦笑)。