最後に、「村上春樹作品でビールナイト♪」というイベントを開催したこともあるという瀧本教授に、村上作品を“飲みながら読む”ための作法について、アドバイスいただこう。
「僕は40代ぐらいから、自分の狭い書斎で、スコッチのロックを飲んで読むことが多いです。溶けにくい球状の氷を入れて、30分から1時間をかけて飲みながら読書をするのが、個人的なオススメですね。
もちろん、食事をしながらであればワインもいいですし、冷えたビールを飲み干しながら読むのもいいでしょう。1つコツを挙げるとすれば、“少しだけ酔う”ということが大事なんですね。飲み過ぎると、やはり読書どころではなくなります。
ハイな気分に自分を仕立てるというか、現実から50センチとか30センチぐらい浮かんでいるようなところで自分を留まらせておいて読む。文学は虚構作品なので、そのくらいの浮遊感で読むのがマッチします。TPOに合わせながら楽しめば、お酒は文学のとてもいい仲間になり得るのではないかなと勝手に思っています」