「2006年、小売業は絶好調だった。シアーズの時価総額は143億ドル、ターゲットは382億ドル、ウォルマートはなんと1580億ドルだった。一方、アマゾンという名のベンチャーは175億ドルだった。それが10年後にはどうなったか。何が変わったのか」
「大手小売業は苦境に陥った。17年にはシアーズの時価総額は94%減少し、わずか9億ドルとなり、まもなく倒産した。ターゲットはもう少しましで、550億ドルになっていた。最も成功していたのはウォルマートで、時価総額は2439億ドルに増加していた。だがアマゾンはどうなったか。『エブリシング・ストア』の時価総額は17年には7000億ドルに膨らんでいた」(同氏ほか著『2030年すべてが「加速」する世界に備えよ』)。
実はディアマンディス氏がこの本に書いた17年からたった4年、21年にはアマゾンの時価総額はこのときに比べてさらに2.3倍の1兆6170億ドルになった。
都心で働く一部のビジネスパーソンにとってウーバーイーツで食事を注文することは日常化している。しかし10年前にはウーバーイーツそのものがなかった。スマートフォンも10年前は3Gの世界。そもそもiPhoneが日本で販売開始となったのは今から13年前の08年。それまでは「ガラケー」が中心だった。過去10年間で米国半導体大手エヌビディアの株価は41倍になったが、逆に日本製鉄の株価は13%安となってしまった。
Source: 「加速する世界」まずは常識を疑う(岩崎日出俊): 日本経済新聞