Source: インデックス投資のイロハ(下)時間を味方に長期視点で : 日本経済新聞
40歳代の九条さん(ハンドルネーム)は、投資歴20年超のベテラン個人投資家だ。米S&P500種株価指数に連動するETF(上場投資信託)を軸に資産を築き、2018年に「好きな仕事だけやる平社員になる」という形のセミ・リタイアを実行した。現在は働きながら、投資の運用益で生活している。
九条さんのポートフォリオを円グラフにまとめてみた。米国株や欧州株のインデックス投信だけでなく、米アマゾン・ドット・コムなどの米個別株や、新興国株のインデックス投信、さらには金や暗号資産(仮想通貨)にも投資している。現金も資産全体の約4分の1を占める。
想定リターンは年率4%だ。株式投資だけならそれ以上のリターンも狙えるが、セミ・リタイア生活ではリターンの安定性が重要と考え、株式(投信を含む)の比率を半分以下に抑えている。「投資先を分散させ、どんな相場環境でも確実に年率4%のリターンが得られるようなポートフォリオを目指した」と九条さんは話す。
複雑な資産分散は必要ないとする意見もある。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんは、「投資先は『MSCIコクサイ・インデックス』に連動する投信だけでよい」と話す。MSCIコクサイは日本を除く先進国の株式で構成されており、これ自体、地域分散が利いた指数だ。これに有事の際に使える現金をある程度持っておけば、それだけで十分なリスク分散になると深野さんは指摘する。
積み立てでのインデックス投資の1つの利点として、「時間を味方につけられる」というものがある。人生の早いステージから投資をしておけば、複利効果で雪だるま式に資産が増えるというものだ。