歌うといことは、音読・復唱と一緒である。
洋楽という学習に抵抗感を持たせない教材、興味のある分野の教材を使って歌いまくる。
歌うこと、声に出すこと、音読することは何故、言語習得に良い効果をもたらすのか?
ところが、21世紀に入って、事情は大きく変わってきました。脳科学の進歩のおかけで、脳がどのような情報処理を行っているかが分かり始めたからです。
脳はルールを操りながら言葉を話しているのではありません。「決まった形」として覚えた情報が多数重なる中で、そこにある規則性を自然に理解していき、それにしたがって情報を組み合わせているだけなのです(※)。
(※)その規則性について解き明かそうとするのが言語学です。しかし、規則性はあくまでも規則性であって「規則」ではありません。つまり、「ゆらぎ」があります。そのため、文法にはいくつもの種類があります。私たちは文法を絶対的なものだと考えがちですが、どの文法もまだ不完全です。もし完全なものがあれば、文法学者がいるはずもありません。
英文法などを「理解する」ことだけで止まることが、上達を妨げている原因。
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英語の学校教育のように、「英文を理解(和訳)するのが最終目標ではない。理解の後、音読を繰り返して知識を内在化させなければならない」
ひとことで言うなら、復習(音読)こそ真に力のつく学習なのであり、理解や分析は音読への助走に過ぎないということだ。
私自身も、英文を声に出したことが一番学習効果があったと感じています。
本文では、愚直に音読を繰り返すことにより、「日本語に頼らずに意味が文の先頭から自然にとれる」ようになり、やがて「例文の応用可能性にどんどん気づく」ようになるというのである。一見受動的に見える学習が、ある時を境に能動性(自由に使える状態)へと転化していく。昔から、名人の域に達した人は、このような泥臭い努力を地道にやり通した人物であることは、記憶しておいて損はないだろう。
・ボストンコンサル日本代表 "中学生時代のアマチュア無線と高校時代以降のバンド活動を通じての「英語の口真似」が、結果的にリスニング能力を高めてくれたようだ"
【声に出すことが言語習得に良い脳科学的?理由】
- 大脳の中には言語中枢があり、ふたつに分かれている。「ヴェルニッケ中枢」は、言語を受け身的に理解することを担当している。「ブローカ中枢」は、言語を能動的に使うことを担当している。
- 目から入った情報はヴェルニッケ中枢に送られて理解される。それを口に出して音声化しようとすると、情報はブローカ中枢に伝えられる。発せられた音声を自分の耳で聞き、再びヴェルニッケ中枢でその成否を理解する。
- 言語能力を蓄積していくには、この2つの中枢の連携を活性化させる必要がある。
- 2つの中枢間でinteraction(相互関連)を頻繁に引き起こしていけば、知識が肉体化され、受け身の知識だけでなく、能動的に使える知識となって身につく。これを知識の「内在化(internalize)」という。
- 母語を習得する場合は、この機能が無意識に働く。しかし、外国語を学ぶ時は、意識的にこの循環が行なわれる環境を作る必要がある。
こうして、「ヴェルニッケ中枢」と「ブローカ中枢」を共に刺激する「音読」が、かけがえのない学習法であることが明らかになるのである。