マンション「買えるのは富裕層の特権か」 悩む中間層:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC263UN0W2A920C2000000/
「買えるのは一部の富裕層の特権なのか」。横浜市の賃貸マンションで夫と4歳の娘と暮らす会社員、三輪尚子(仮名、38)はため息をもらす。数年前から都心近郊でマンションを探してきた。上限の目安にする6000万円台を超える高額物件が増え、検索サイトを眺めては焦燥感を募らせる日々を送る。
10年以上かけて頭金として1500万円をためてきたが、物価高でガソリン代や食費などの生活費が1割上がり、「購入後も安定した生活を送れるか不安も大きい」。夫は飲食業。
13年から日経平均株価は9年で約2倍、東京23区の基準地価も5割上昇した。富裕層が株式や不動産投資で資産を増やす一方で、まとまった資金を投資に向けられず、貯蓄頼みだった中間層が割を食っている
「中古マンションすら高騰し、手を出しにくい」。埼玉県で食品メーカーに勤務する今永卓也(仮名、28)は言う。年収は500万円。趣味のバイクやキャンプにもお金を使いたい今永が選んだのが中古戸建て。今夏、リフォームした築37年の一軒家を1200万円で買った。ローン返済額の負担も少なく、「部屋も広くよかった」と言う。
世帯年収が1500万円を超える共働き世帯「パワーカップル」である沢木詩織(34、仮名)は20年9月、東京都文京区で3LDKの新築マンションを7500万円で購入。「暴落する前には売りたい」と話す。