「ミニマリスト」の悲喜劇を描いた、小説『滅私』(新潮社)。著者の羽田圭介さんは「自分も若干ミニマリストの傾向はあるのかなと思う」と打ち明ける。その一方で、究極的にミニマルな暮らしを目指してしまうと、思考が狭まるのではないかと疑問を抱く。
個人型確定拠出年金(iDeCo)と小規模企業共済を、毎月それぞれ満額で始めました。お金の不安があったというよりも、「面白そうだな」と思ったんです。それだけでは物足りなくなり、米国のETF(上場投資信託)や、日本企業の個別株を数週間から1カ月で売買するスイングトレードも手掛けていました
仕事に関しては、お金に換算できない意義もあるわけで。自分の貪欲さが、そうでない方向を選んでしまいました。「お金は大事」と教えるマネー教育には、功罪両方があると思います。
お金はやっぱり旅に使うのがいいのではないかと思っています。
Source: 仕事は、お金に換算できない意義もある(羽田圭介): 日本経済新聞
『滅私』(新潮社)
物を捨てよ、心も捨てよ。ミニマリストの男が直面するSDGs時代の悲喜劇。
必要最低限の物だけで暮らすライターの男。物だけでなく人間関係にも淡泊で、同志が集うサイトの運営と投資で生計を立て、裕福ではないが自由でスマートな生活を手に入れた。だがある日、その人生に影が差す。自分の昔の所業を知る人物が現れたのだ。過去は物ほど簡単には捨てられないのか。更新される煩悩の現在を鋭く描く。