90s生まれミレニアル世代のメモ帳/備忘録

アメリカ東海岸の片隅から、読んだ記事や本で気になった箇所をメモするブログ。

TED Talk結論まとめ: キンバリー・ノーブル: 幼児期の脳の発達に対する世帯年収の影響

Kimberly Noble: How does income affect childhood brain development? | TED  Talk

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  • 他の科学者による これまでの研究では 多くの場合 皮質表面が大きいほど 知能が高いとされてきました 今回の研究で 私たちは ある要因が 脳のほぼ全体にわたる皮質表面に 関連することを見い出しました その要因というのは 家庭の収入です
  • この図で色がついている所はすべて 家庭の収入が増えると 皮質表面が大きくなる場所です 黄色い部分は その関連性が特に顕著な箇所です この部分は特定の認知能力の 基盤となることがわかっています 語彙や読解といった言語能力 そして集中力を維持する能力や 自己制御といったものです これは重要なことです 貧困家庭の子供には この種の能力が 欠如している傾向が見られるからです さらに付け加えると 貧困の環境にある子供は 言語と衝動制御の試験の結果が 劣る傾向にあり それは2歳になる前に 既に見られるのです
  • 今回の研究には注目すべき点が いくつかあります まず第1に 家庭の収入と子供の脳の構造の関連は 収入が最低レベルの場合に最も強くなります この事実が意味することは 収入が最低レベルの家庭では 家庭収入の差が小さくても 脳の構造の違いは 比例的に大きくなるということです
  • 2番目のポイントは 家庭の収入と子供の脳の構造の関連は 子供の年齢には関係なく 性別や人種あるいは民族性にも 関係ないという点です

  • 最後に 一番重要な点ですが 子供の個人差は非常に大きく 収入が多い家庭の子供でも 脳表面が小さい例は多く見られ 低所得の家庭の子供でも 脳表面が大きい場合が 少なくありません

  • 2人の子供を想像してみてください 1人は米国の貧しい家庭に生まれ もう1人は同じく米国の 裕福な家庭に生まれたとします 生まれた時点では 2人の脳の機能は 全く同じです しかし 幼稚園に入る頃になると 貧困家庭の子供は 認知能力テストの結果が 裕福な家庭の子供に比べて 平均で 60% 低くなる傾向があります その後 貧困家庭の子供が 高校を中退する確率は5倍になります 高校を卒業したとしても 大学を卒業する確率は低くなります この 2 人が 35 歳になる頃には 子供時代を貧困の中で過ごした方が 引き続き貧困の中にある確率は 最大で 75 倍になります

過程の少し前に戻って 子供の「経験」を変えることに 注目してみたらどうでしょうか 貧困の中で育つことに関連し 脳の発達の促進と 学習成果向上に役立つ経験とは 具体的にどのようなものでしょう? さまざまな経験が考えられますよね ほんの一例ですが 栄養であったり 医療へのアクセス 受動喫煙や鉛への曝露 ストレスや差別の経験などが考えられます 私の研究室では 子供の脳の発達を促し 最終的には 学習成果の向上に つながる可能性がある いくつかの種類の経験に 特に注目しています


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一例として 私が「家庭の言語環境」と 呼んでいるものについて説明します どういう意味かというと 子供が毎日 耳にする単語の数と 会話に参加する回数は 家庭環境で大きく異なります 推定では 裕福な家庭の子供が 耳にする話し言葉の平均的な数は 貧しい家庭の子供に比べて 生後数年間で 3千万語も多いと言われています 私たちの研究では 対話応答型の会話を 多く経験している子供の脳は 言語と読解力に関係する部位の表面が 大きくなる傾向があることを 見い出しつつあります さらに 耳にする会話の回数が及ぼす影響は ただ単語を耳にする数の影響より やや大きいようです 1つの興味深い可能性として 保護者には子供に話しかける回数を 増やすだけでなく 子供との会話の機会を増やすよう 伝える必要があると言えます そうすることで 脳の発達を促進し 子供の言語と読解力を向上させることも できるかもしれません このワクワクする可能性について 多くの科学者が興味深い実験を行っています