90s生まれミレニアル世代のメモ帳/備忘録

アメリカ東海岸の片隅から、読んだ記事や本で気になった箇所をメモするブログ。

社員5人で年商40億を稼ぐ「越境ECのパワー」

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Source - 【これからのEC事業者に求められる能力 - 見えない競争相手に勝つため -】(1/3)時代の流れを見抜き、消費の現場を的確にとらえよ。 大前 研一 氏|Rakuten BUSINESS INSIGHT

社員5人で年商40億を稼ぐ「越境ECのパワー」

そうした回りくどいことをせず、新品を海外から直輸入しようというのが「BUYMA(バイマ)*12」です。とても面白い仕組みで、世界中にものすごい数のバイヤーを抱えていますが、そのほとんどは日本企業の現地駐在員の奥さんです。夫婦で海外に駐在する場合、旦那が仕事をしている間、奥さんは家にいるので時間はあります。「BUYMA(バイマ)」では、海外のショップで購入する代わりに商品を見て知識だけを得て、その商品の写真をサイトに掲載します。そして、注文を受けてから実際に商品を買い付けるわけです。

百貨店の場合、ブランドから100円で仕入れた商品が300円近くで売られます。仕入れ問屋を経由すると、さらに高くなります。ところが「BUYMA(バイマ)」は、ローカルの人が購入できる値段プラス送料で購入することができます。手数料は売り手と買い手、双方から5%ずつという仕組みなので、非常に安く購入できます。仕組みはメルカリと同じですが、こちらは中古品ではなくて、現地のショップやアウトレットで売っている商品ですから、非常に競争力がある仕組みです。内外価格差が大きい日本では、この仕組みはしばらくの間、機能すると思います。

皆さんもそれぞれ店舗を経営されていますが、「こんな商品がイタリアから入ってきたらいいな」という商品があれば、「BUYMA(バイマ)」のようなシステムに乗せると最強になりますね。例えば「パルミジャーノ・レッジャーノ(イタリアを代表するチーズのひとつ)」のような「世界のある特定地域のベストな商品」について、調達に苦労されている場合などは、現地にいる人に購入してもらい、自分の店舗を通じて売るという形にすればいいのです。放っておくと「BUYMA(バイマ)」のバイヤーたちがやってしまいますから、熾烈な競争関係ですね。フランスやイタリア、中欧など、ローカルな名産品が多い地域については、こうしたサービスから勉強するのも重要だと思います。

「越境EC」ですが、中国、アメリカ、日本でそれぞれ拡大しており、特に日本から中国消費者向けの越境ECは巨大市場となっています。中国越境EC市場では、Alibaba(アリババ集団)の「T-mall(天猫国際)*13」と京東集団(JD.com)の「京東商城(JD.com)*14」「京東全球購(JD Worldwide)*15」が覇を争っている状態です。2017年、「T-mall」では「W11(独身の日;11月11日)」に2.8兆円の売上がありました。これ、1日の売上ですよ。日本最大の三越伊勢丹の年間売上が1.3兆円です。その2倍の売上を1日で上げてしまうわけです。そして「京東集団」も追いついて、2017年に「Alibaba」が達成した1.8兆円を2018年の「W11」に達成したので、こうした巨大企業が中国には2つもあるということになります。

ただ、売れている商品を見ると、日本製紙オムツやこども服など、過去に日本にやってきて爆買いしていた商品ばかりです。日本に来て爆買いして帰る「担ぎ屋」をやる必要がなくなったわけです。ヒアルロン酸のフェイスマスクなども上位に入ってきます。東京のドラックストアの前に中国人観光客のバスが横付けされて、爆買いしている風景もよく見ましたよね。彼らは「百度バイドゥ)*16」などで日本の店舗も調べていますからね。

「W11」に人気が集中したフェイスマスクを売る「クオリティファースト*17」という日本企業は、社員5名で年商40億円を上げています。この越境EC市場に乗っかっているわけです。中国人留学生など、中国に詳しい人のアドバイスを得て商品を開発し、社員が5名しかいないのに、越境ECだけで40億円を稼いでいるわけです。「空気が悪い中国にはフェイスマスクが良いね!」というアプローチですね。ほんの少しの工夫と、現地にアピールする販売チャネルを見つたことにより、一気に40億円まで到達しました。留学生など含めた在日中国人に商品を見て批評してもらい、さらに商品開発を進め、ECサイトを作成したら大当たりした、ということなんですね。

越境ECの大きな特徴は、「各カテゴリーで上位1位と2位の品目しか売れない」ことにあります。下位商品は全く売れないという傾向があり、トレンドが変化するスピードも速く、事業計画を重視するより動きながら試行錯誤するやり方が良いと言えます。その意味で、トップダウンのオーナー企業や中小企業の方が向いていると言えるでしょう。

*12 BUYMA(バイマ) | 株式会社エニグモが提供する海外ファッション通販サイト。海外在住のパーソナルショッパーを通じて、世界中のファッションアイテムを購入することができる。海外ブランド10,000以上、260万点を取り扱っており、現在524万人以上が利用している。

*13 T-mall(天猫) | 株式時価総額で世界トップ10に入るAlibaba(アリババ)が手がける中国最大のBtoCショッピングモール。毎年11月11日は大々的なセールスプロモーションが行われ、国家的イベントとも呼べる盛り上がりを見せている。

*14 京東商城(JD.com) | 劉強東が1998年に設立したウェブサービス会社・京東集団(JD.com)が手がけるECサイト。家電・PC・家具・衣類・食品・書籍などが取り引きされ、2015年時点で中国国内通販サイトシェアの56.3%を占める。

*15 京東全球購(JD Worldwide) | 京東集団(JD.com)が手がける越境ECサイト。2015年の発足以来、2,500以上の海外店舗が出店し、商品は約1,000万SKUを販売している。2017年2月時点で、70以上の国と地域の海外ブランドを18,400ブランド以上を取り扱っている。

*16 百度バイドゥ) | 中国産検索エンジンの最大手。全世界シェアにおいて、Googleに次ぐ第2位。中国国内では最大シェアを誇る。百度公司(Baidu, Inc.)は「百度」以外にも「百度百科(オンライン百科事典)」や「百度入力方法(コンピューターおよび携帯電話への中国語などの文字入力方法)」なども提供している。

*17 クオリティファースト | シートマスクを専門に扱う化粧品会社。本社は東京・港区。高濃度美容液を浸み込ませたオールインワンシートマスクを主力商品とする。TVCMにはきゃりーぱみゅぱみゅを起用。

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