ドイツは早く
――なぜ今生産性改革が必要なのでしょうか。
「競争のグローバル化が大きい。日本企業同士で戦っているうちは感じなかったが、工場が海外へ移転し、言葉や時差など環境が変化する中で、生産性向上がどうしても必要になってきた。従業員の価値観も変わった。経営者が変化に気づくのが遅かった。今は生産性が低く残業が多い会社には学生は行かない」
――転機は何ですか。
「海外企業を相次ぎ買収するうち矛盾を感じた。欧州の会社では基本的に残業はしない。夏休みもたっぷりあるが、きちんと利益を出す。会議や意思決定も速い。『これは戦いに負ける』と思った」
――働き方改革で競争はどう変わりますか。
「生産性の高い人は生産性の高い会社に入り、高い賃金を得る。従業員同士の競争が激しくなり、結果的に成果主義になる。日本は残業という延長戦で戦ってきたが、これからの勝負は午後5時まで。働き方改革は必ずしもみんなを幸せにしないかもしれないが、総合的に国を強くする」